一般社団法人事業再生支援協会(SRC) 第18回SRC総会・セミナーのご案内

目次
  1. 全国から参加した会員が一堂に会し、総会がスタート
  2. 特別講演に、日下智晴氏が登壇! 変わる金融機関の方向性と今後の課題とは
  3. 事業再生の今後を見つめ、活発に意見を交わしたパネルディスカッション
日時 2023年10月14日(土) 13:00~18:30
SRC総会
特別講演
テーマ コロナ禍後の事業再生 ~変わる金融機関の方向性と今後の課題~
講師 日下 智晴 氏(日下企業經營相談所代表)
パネルディスカッション
テーマ コロナ禍後の事業再生の在り方
コーディネーター 吉田 猫次郎 氏(東京支部)
パネリスト 島倉 大介 氏(東京支部)、
須釜 雅人 氏(名古屋支部)、
岩田 光弘 氏(静岡支部)、
藤本 宏司 氏(瀬戸内支部)

3年ぶりの開催!
情報をアップデートし、コロナ禍後の新たな事業再生スタイルを創造する

全国から参加した会員が一堂に会し、総会がスタート

2023年10月14日(土)、SRC総会・セミナーが3年ぶりに開催されました。第18回となる今回の会場は、東京駅近くのミーティングスペース・AP東京丸の内です。コロナ禍後の事業再生を学び合う貴重な機会に、全国12支部から会員が参加しました。

出津 平 氏

はじめにSRC代表理事の出津平氏より、開会の挨拶です。「バブルが崩壊し、事業経営者が困窮を極めていた、その真っただ中で、我々はSRCを設立しました」と、2002年を振り返ります。そして、「日本では再び不動産価格が上昇しています。歴史は繰り返すものなのか。ただひとつ言えることは、日本のバブル崩壊以上の不動産危機が、中国にあるということです」と、現在の状況に警鐘を鳴らしました。

「その影響は日本にも来るでしょう。そういう意味でも、我々の事業活動は続けていかなくてはならない。ネットワークを広げ、この協会を継続していくことを祈って挨拶とさせていただきます」

力強く締めくくられた出津氏の言葉に続き、議案の審議へと移ります。第1号議案「2023年度事業報告及び決算報告と会計監査報告」、第2号議案「2024年度事業計画及び予算案」について、監事の木戸通夫氏が報告。出津平氏より第3号議案「理事、監事改選」が説明され、3議案は全会一致で承認されました。

立川 昭吾 氏

第1部の特別講演に先立ち、SRC理事で一般社団法人日本ターンアラウンド・マネジメント協会(TMA)理事の立川昭吾氏が壇上に立ちました。SRC設立当時を振り返った出津氏の話を受け、「設立後すぐに、TMAをつくりました。現在は約180名のCTP(認定事業再生士)、約700名のATP(事業再生士補)がおります。年々、人数が増え、事業再生というものがようやく日本に根差したという感じがいたします」と、成長の道のりを語ります。

そして、コロナ禍による経済損失に言及し、「来年の2月くらいには今までと違う政策が出てくるように思います。このような背景を踏まえた事業再生の仕組みをつくれる方が、これからの本当のプレイヤーになっていくのではないか」とコメント。「今日はぜひ皆さんと一緒に勉強し、新しい事業再生のスタイルをつくりたいと思います」と呼びかけました。

特別講演に、日下智晴氏が登壇! 変わる金融機関の方向性と今後の課題とは

続いて、『コロナ禍後の事業再生~変わる金融機関の方向性と今後の課題~』と題した特別講演です。講師は、日下企業經營相談所代表の日下智晴氏。広島銀行を経て金融庁に転職、現在は中小企業の経営者に対してサポートを行っています。

日下 智晴 氏

「私が金融庁に転職して以降、必ずお話しするのが、我が国の金融の歴史です」という日下氏。特に1999年に金融検査マニュアルが制定されてからの20年間は、「私の感覚では平時ではなく、特殊な時代だった」といいます。共有されたスライドには、金融検査マニュアル別表の債権分類基準が映し出されました。

「企業の良し悪しは、事業で見なくてはいけない。このように財務内容で『健全』と『不良』と区分するのは、まっとうな手法ではありません」金融の最前線にいた日下氏ならではの鋭く切り込む言葉に、会場全体が一気に引き込まれていきます。

金融機関の企業融資を困難にする仕組みにより、企業の成長は鈍化。さらに2003年の地銀を主要行と分断したリレーションシップバンキングによる混迷、2015年からの変革の始まり、2018年からの規制緩和など、豊富なデータによって金融をめぐる日本の変遷が次々と示されました。そして話題は、コロナ後の事業再生へ。

融資を受けた企業は、コロナ禍前に課題が顕在化していたかどうかなどで大きく3つのタイプに分かれること、中小企業の借入は多様な融資が混じり、自社の負債をコントロールできない状態であることなど、様々な課題が述べられていきます。

アフターコロナの金融支援のあり方については、「これからの担保保証の方法として、経営者は連帯保証から外して経営に専念、自分が持つ自社株を担保に入れることで金融機関との同じ船に乗る関係が成立する」など、実践的な方法が解説されました。

最後に示されたのは、「これからの企業経営と支援者の関係」と題したスライドです。「これはデューディリジェンスが終わった状態のバランスシートです。将来のキャッシュフロー計画を会計人と金融機関が共有し、金融機関はこれを担保にする。会計人は、この計画をモニタリングする。このような支援のもとで中小企業が確かな経営を行う、そのような社会を実現していきたいと思っています」

示唆に富んだプレゼンテーションが終了し、参加者からの質問タイムとなります。「先生の構想と、現時点における金融機関の考えとの乖離はどの程度あるのか」「今、地銀がするべき有効な支援とは」……次々と投げかけられる質問に、日下氏が真摯に回答。あっという間に終了時間となり、参加者から日下氏へ盛大な拍手が送られました。

プロフィール

日下企業經營相談所代表
日下 智晴 氏

  • 神戸大学経済経営研究所客員教授
  • YKプランニング社外取締役
  • 広島大学大学院人間社会科学研究科客員教授
  • クレジットプライシングコーポレーション社外取締役
  • ちいきん会理事
  • 商工組合中央金庫社外取締役
  • 知的資産マネジメント支援機構社外取締役
  • クレジオパートナーズ監査役他
1961年広島県生まれ。
1984年神戸大学経営学部会計学科卒。
1984年広島銀行入行。86年資金証券部、95年本川支店長代理、
1997年総合企画部課長代理、2006年企画室長、07年担当部長。
2010年より融資企画部長、大阪支店長、リスク統括部長を歴任し、15年10月広島銀行を退職。
2015年11月金融庁に転職し、初代地域金融企画室長。
2018年7月より地域金融生産性向上支援室長、19年7月より地域課題解決支援室長兼務。
2021年9月金融庁を定年退職。
2021年10月日下企業經營相談所を再興。

事業再生の今後を見つめ、活発に意見を交わしたパネルディスカッション

続いて、5名の会員が登壇。『コロナ禍後の事業再生の在り方』をテーマとしたパネルディスカッションです。進行を務める吉田猫次郎氏が、「20年前の事業再生は、金融調整に偏っていたと思うんですね。今はもっと複雑で、アップデートしないといけないことが山ほどあると思うんですが、いかがですか?」とさっそく問題提起します。

写真左から 吉田 猫次郎 氏|鳥倉 大介 氏|
岩田 光弘 氏|須釜 雅人 氏|藤本 宏司 氏

初めに語ったのは、商工会議所などで補助金申請をサポートしている岩田光弘氏です。「事業再構築補助金申請では、本業がうまくいっていない状態で、実現性を加味しないまま相談に来るケースが非常に多い。なので、実際に申請に至るのは1割か2割。そのリスクを話す必要があること、“補助金のための補助金”になってはいけないことを共有したいと思います」

鳥倉大介氏は、社会保険料の滞納問題を取り上げ、「コロナ禍においては、4年以内に納付すれば良い特例猶予が適用になりました。その4年目が2024年に到来するので、今、年金機構の督促が厳しい。業績が回復してもまだ滞納金額の精算に至らない企業が、どんどん差し押さえられるのでは」と懸念を示します。

「社会保険と税務署の次くらいに調整が難しいと個人的に感じているのが、信用保証協会」という吉田氏の発言に、4県の信用保証協会の専門家を担う藤本宏司氏が答えます。
「47都道府県で信用保証協会は単独なので、レベルも全然違う。トップが古い体質だと、企業支援に対してスタンス的に違和感を持たれているのを感じますね」

そんな厳しい状況の債権者の立場を考え、吉田氏は「銀行の在り方も、様々な事情を汲み取って支援する場面が増えなければいけないのでは?」と、日本政策金融公庫の須釜雅人氏へ問いかけます。「そういうケースは結構あります。ただ、やはり金融機関側からすると、それを裏付けて説得させる経営者の魂が込められた事業計画書・経営改善計画書が欲しい。例えばSRCさんの再生案件を見ると、まずは社長のやり方を否定する。当初アウェー状態ですごく大変なケースが多いですが、改善にベクトルが向かっていくと、全社的に意識が変わっていきます。やはり計画書次第なところがあります」

さらに話題は、メインバンクの指導力、バンクミーティング、コロナ禍における再生プランの事例などへと展開。「数字よりも先に聞かなければいけないことがある」「根本的には人間力」など、パワフルなキーワードが飛び交い、議論が深まっていきました。

最後に鳥倉氏は、「経営改善をするのが事業再生のプロ。国の制度やシステムが変わってしまったが、それでも私は会社を再建したい」と力強くコミット。岩田氏は、「SRCでつながることにメリット、大きなバリューがあるということをシェアさせていただきたい」と、笑顔で語りました。

須釜氏は、「金融機関の人は矜持、特にプライドと信念を持って業務にあたってほしい。コンサルの方に関しては、真のコンサルの出番が到来。これからが勝負」と、再生事業にエールを送ります。藤本氏は、「人さまの生命と財産を扱う重みを、絶対的に持っておかないといけない。今後もぜひ、いろいろなセミナーや勉強会を企画してください」と、協会の活動に期待を寄せます。

「これを機に、SRCでも今後さらに盛り上げていけたらと願っています」と吉田氏が締めくくり、最新のトレンド情報も豊富に含む貴重なディスカッションが終了しました。

セミナー終了後は、会場を移しての懇親会です。全国の会員が名刺交換して楽しく語り合い、時には真剣に意見を交わしながら、志をひとつにしたネットワーキングで一日が幕を下ろしました。